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2023.12.26
【空き家問題】相続した土地を手放したいーvol.3ー
こんにちは。空き家買取専科の三輪です。
所有者不明土地が増加する要因の一つとして空き家の問題が浮き彫りになっています。この所有者不明土地の問題に対処するため、不動産に関する規制が大きく変わってきていますね。
2023年4月1日からは民法の改正があり、更に2023年4月27日からは土地を手放すための「相続土地国庫帰属制度」が始まりました。ただ、難しい漢字が並ぶ新しい制度は理解が難しいかもしれませんね。これまでの相続放棄との違いは何なのか、私も学びながら、新しい制度を分かりやすく紹介していきます。

◾️所有者不明土地とは?
相続などの際に土地の所有者についての登記(土地や土地建物などの不動産に関する権利を公的に登録すること)が行われないなどの理由により、不動産登記簿を確認しても所有者がわからない土地、また所有者は分かっていても所有者に連絡がつかない土地のこと。
◾️土地を手放すための制度「相続土地国庫帰属制度」とは?
土地を相続しても使い道がなく、手放したいけれど引き取り手が見つからず、処分に悩んでいる…。こうした土地が、所有者不明土地の候補に挙がることがあります。
そこで、所有者不明土地の発生を予防するため、土地を相続した方が不要な土地を手放して、国に引き渡すことができる「相続土地国庫帰属制度」が新たに設けられました(令和5年(2023年)4月27日施行)。

◾️相続土地国庫帰属制度と相続放棄との違いとは?
相続土地国庫帰属制度と相続放棄には重要な違いがあります。
相続土地国庫帰属制度は、相続した遺産の中で不要な土地だけを国に引き取ってもらう制度です。
対照的に、相続放棄は相続人が期限内に裁判所に相続放棄の申し出をすることにより、被相続人の遺産の一切を相続しないことを決定する制度です。つまり、相続放棄では相続自体を拒否するため、不要な土地だけを放棄することはできませんでした。
相続放棄を選択した場合、相続人全員が相続放棄を実施した土地は最終的に国に引き継がれることがありますが、これは基本的に無条件での引き継ぎとなります。一方で、相続土地国庫帰属制度では引き継ぎに一定の条件が求められる点が異なります。
◾️相続土地国庫帰属制度のメリットとデメリット
【メリット】
①いらない土地だけを手放すことができる
相続土地国庫帰属制度では、不要な土地だけを手放すことが可能です。これまで相続放棄制度を利用する場合、優良な資産も一緒に手放す必要がありましたが、相続土地国庫帰属制度では優良な資産を引き続き所有しつつ、不要な土地だけを手放すことができます。
②引き受け手は国になるため、自分で探す必要がない
いらない土地を手放す場合、相続放棄以外に近隣の方や業者に引き取ってもらうなどの方法がありましたが、いずれも引き受け手を見つけるのが困難でした。相続土地国庫帰属制度では、国が引き受け手になるため、土地所有者が自分で引き受け手を見つける手間が省けます。
③国が引き取るため、引取後の管理も安心できる
引き取り後、国が管理を行うため、引き取り後の管理も安心です。
【デメリット】
①手続の利用にお金が掛かる
土地を売却すれば収入が得られますが、相続土地国庫帰属制度では手続きを行う際に支払うべき費用が発生します。申請時には審査手数料が必要であり、審査に合格した場合には負担金を支払う必要があります。
※費用については下記にて解説します。
②国に引き継がれるまでに時間を要する
国が申請を受理すると、様々な審査が行われます。この審査には現地調査や関係行政機関への照会などが含まれ、他の一般的な行政手続きと比較してかなり複雑なものとなります。そのため、土地を手放すまでにはある程度の時間がかかる見込みです。
③申請や国の審査の際に手間が掛かる
国の審査を受けるためには様々な資料を収集し、国が行う調査に協力する必要があります。国の審査に不当な拒否があると、申請が却下される可能性もあるため、慎重な対応が求められます。

◾️申請方法
土地の所有権を相続により得た方は原則として、相続土地国庫帰属制度の申請対象となります。ただし、土地の取得が売買などによるものや法人による場合は除外されます。共有地の場合は、共有者全員が申請を行う必要があります。国に引き渡すためには法務大臣(窓口は法務局)の承認を得て、その後に負担金(10年間の土地管理費相当額)を納付する必要があります。
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◯ 申請権を有します。
△ 申請権を有しますが、共有者全員で申請する必要があります。
✕ 申請権を有しません。
◾️申請にかかる費用
申請時には、1筆の土地ごとに1万4000円の審査手数料が必要です(※1)。承認後には、法務局による審査を経て土地の性質に基づいて算出された10年分の土地管理費相当額の負担金を納付します。同じ種類の土地が隣接していれば、負担金は2筆以上でも合算でき、原則20万円となります。ただし、一部の市街地の宅地、農用地区域の農用地、森林などについては、面積に応じて負担金が算定されることもあります(下図を参照)。
※1:「筆」とは、登記上の土地の個数を表す単位
| 宅地 | 面積にかかわらず、20万円 ただし、一部の市街地(注3)の宅地については、面積に応じ算定(注4) |
|---|---|
| 田、畑 | 面積にかかわらず、20万円 ただし、一部の市街地(注3)、農用地区域の田、畑については、面積に応じて算定(注4) |
| 森林 | 面積に応じ算定(注4) |
| その他 ※雑種地、原野等 | 面積にかかわらず、20万円 |
(注3)都市計画法の市街化区域又は用途地域が指定されている地域。
(注4)面積の単純比例ではなく、面積が多くなるにつれ、1㎡当たりの負担金額は低くなる。
負担金について詳しくは 資料:法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」
◾️国庫帰属が認められない土地
相続土地国庫帰属制度は、すべての土地を引き取るものではありません。以下の条件に該当する土地は引き取ることができないため、確認が必要です。
①建物がある土地
②担保権や使用収益権が設定されている土地
③所有権の存否、帰属、範囲について争いがある土地
④通路、その他の他人による使用が予定されている土地
⑤崖がある土地のうち、管理に追加の費用・労力がかかる土地
⑥土地に産業廃棄物などが埋まっていて、管理や撤去に追加の費用がかかる土地⑦土地の通常の管理・処分を阻害する有体物(大きな木など)が地上にある土地⑧不法占拠者等とのトラブルを解決しなければ管理ができない土地
・その他管理に追加の費用・労力がかかる土地
◾️国庫帰属までの流れ
①事前相談
所在地の土地を管轄する法務局で相談予約をし、相談を行います。
②申請書類の作成・提出
審査手数料相当額の収入印紙を貼り付けた申請書を作成し、所在地の法務局に提出するか、郵送します。
③要件審査
法務大臣(法務局)にて、提出された書面を審査し、申請された土地で現地調査を行います。アクセスが難しい等の事情がある場合には、申請者(申請者が指定する者)に同行する場合があります。
④承認・負担金の納付
審査の結果、帰属が承認された場合、申請者に通知が届きます。帰属が承認された場合、申請者は通知に記載されている負担金額を期間内(負担金の通知が到着した翌日から30日以内)に日本銀行に納付します。
⑤国庫帰属
負担金の納付が完了すると、土地の所有権が国に帰属します。所有権移転登記は国が行い、国庫に帰属された土地は国が管理・処分します。
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今回は、相続した土地を手放す制度「相続土地国庫帰属制度」について学んできました。相続したけど活用できていなくて持て余している土地がある方はぜひ法務局に相談してみてくださいね。
詳細は法務省https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html のページからご覧ください。
次回は、相続登記等の義務化について一緒に学んでいきましょう。
▼お持ちの空き家を何とかしたいという方はこちら
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