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2026.03.26

アーティストが「ボロ家」に熱狂?空き家マッチングツアー「fresh air」レポート

こんにちは、空き家買取専科の広報、三輪です。

温かい日があったり、急にまた寒くなったりを繰り返しながら、静岡の山々も、春に向かっていますね。 今日は、少し前のお話になりますが、2026年1月31日に開催した、とってもワクワクするツアーの報告をさせてください。
私たち空き家買取専科がアーツカウンシルしずおか(公益財団法人静岡県文化財団)と一緒に取り組んだ、アートによる空き家活用パイロット事業「fresh air」。そのメインイベントである「アーティスト・クリエイター×空き家 マッチングツアー」のレポートです。
不動産業界の常識を心地よく裏切ってくれた、あの熱い一日の空気感を、皆さんにお届けします。

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閉じられた扉を開け、風を通す。「fresh air」に込めた想い

まず、このプロジェクトの名前「fresh air(フレッシュ・エアー)」について。
 空き家って、ずっと閉め切られていると空気が淀んでしまいますよね。扉を開けて「風を通す」ことは、家を長持ちさせるための基本です。
でも、このプロジェクトで通したかったのは、物理的な風だけではありません。 外からやってくるアーティストという「新鮮な空気」が、地域や建物に新しい視点を吹き込み、停滞していた空間をクリエイティブな場所へと変えていく。そんな願いが込められています。

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現在、日本全国の空き家数は過去最多の900万戸(2023年調査)を超えています。私たちが拠点とする静岡県内でも、特に中山間地域では「住み手が見つからない」「壊すにもお金がかかる」と、負の遺産になりかけている物件がたくさんあります。
一方で、表現の場を探しているアーティストたちは、「広さが足りない」「家賃が高い」「音や匂いで近隣に気を使う」といった悩みを抱えています。
「一般の人には不便で古い家」が、アーティストにとっては「自由なキャンバス」になるかもしれない。 そんな、これまでにないマッチングを目指して、このツアーはスタートしました。

多彩な才能が集まった、島田市・川根本町への旅

ツアー当日の1月31日。集合場所のJR六合駅には、絵画、彫刻、竹細工、デジタルファブリケーション、音楽など、本当に多様なジャンルで活動する6組7人のクリエイターが集まってくれました。
皆さん、「制作場所が欲しい」「作品を保管する巨大なスペースが必要」「ワークショップができる拠点が作りたい」と、切実かつ前向きな目的を持っての参加です。
徒歩やマイクロバスで移動し、私たち空き家買取専科のメンバーがガイド役となって、島田市から川根本町へと続く4つの物件を巡りました。

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物件①:島田市道悦 レトロな駅近平屋

最初に向かったのは、六合駅から徒歩圏内の住宅街にある築52年の平屋です。 ここは5DKという広さがあり、簡易リフォームも済んでいる物件。
参加者からは「生活するには最高だけど、制作となると近隣への音が気になるかな?」といった、リアルな生活者・表現者としての意見が飛び出しました。住宅街だからこその利便性と、表現活動のバランス。最初から深い議論が始まりました。

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物件②:島田市川根町 可能性が広がる「二戸一」

次に見学したのは、元々は企業の社員寮として使われていた築36年の物件。 一つの建物の中に2DKが二つ並んでいる「二戸一(にこいち)」タイプで、駐車場もかなり広めです。
これにはアーティストの皆さんも目が輝きました。 「片方を住居にして、もう片方をギャラリーや店舗にしたら面白いんじゃないか」 「広い駐車場でワークショップができるね」 そんなアイデアが次々と湧き出てきます。郊外だからこそ叶う「職住一体」の暮らしに、大きな可能性を感じた瞬間でした。

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物件③:川根本町高郷 アーティストたちが最も熱狂した「廃墟感」

そして、今回のツアーで最も盛り上がったのが、川根本町にある築62年の平屋でした。 正直に申し上げますと、不動産会社としての目線では「かなりの修繕が必要で、ハードルが高い物件」です。長年住み手が見つからず、オーナーさんも困っていた場所でした。
ところが、アーティストの皆さんの反応は全く違いました。
「このボロボロな感じが、かえって創作意欲をそそる!」 「壁に残った傷や、古い建具の細工が美しい。インスピレーションが湧いてくる」
私たちが「直さなきゃいけないマイナス」と見ていた部分を、彼らは「そこにしかない価値」として捉え直してくれました。柱に刻まれた誰かの成長の跡や、年月が作り出した独特の質感。 「ここをどう自分の空間に仕立てていくか、考えるだけでワクワクする」という言葉を聞いて、私自身、目から鱗が落ちる思いでした。

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物件④:川根本町上長尾 地域とつながる、高台の家

最後は、小学校のすぐ目の前にある築37年の二階建て。 高台にあって、2階からの景色は抜群。ここは空き家買取専科ですでに修繕を済ませていた物件です。
「収納が多いから作品の保管にいい」「学校が近いから、地域の子どもたちを集めてコミュニティスペースにできそう」 といった、地域社会とのつながりを意識した活用案が出てきました。

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「おんぼろ」は「お宝」だった。交流会で語られた本音

見学を終えた後は、川根本町の「和彩食堂 あけぼの」で、遅めのランチを兼ねた交流会を行いました。地元の食材をいただきながら、参加者、行政担当者、移住コーディネーター、アーツカウンシルしずおか、そして私たち不動産会社である空き家買取専科が本音で語り合いました。
そこで改めて気づかされたのは、アーティストが求める空間の「余白」の重要性です。
私たちはつい、きれいにリノベーションして「すぐに住める状態」にすることが正解だと思いがちです。でも、表現者たちは「自分で手を入れられる余白」や「リノベーション前の、その場所が持つ記憶」を求めているんですね。
川根本町の移住コーディネーターからは、「実は町内には、住宅以外にも使われていないお茶工場などの建物もある」という情報も。 「天井が高い工場跡なら、大型の機材も搬入できる!」「それはもっと知りたい!」 と、さらに話が膨らんでいきました。

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空き家が地域の「誇り」に変わる未来を目指して

今回のツアーを終えて、私は確信しました。 「空き家=困ったもの」という地域の閉塞感は、視点を変えるだけで「創造の場」という希望に変わるんだなと。
一般的な市場では価値がないとされてしまう古い建物も、アーティストの手にかかれば、地域を照らす光になる。 私たち空き家買取専科は、これからも不動産売買という枠を超えて、こうした「出会い」の場も作っていきたいと考えています。
もちろん、事業としての採算性や、契約の難しさなど、現実的な課題はまだまだあります。でも、今回のツアーで生まれた熱量こそが、その課題を乗り越えていくためのエネルギーになるはずです。
今回の「fresh air」事業に関わってくださった皆様、本当にありがとうございました。 この一歩が、島田市や川根本町に、そして静岡全域に、新しい風を吹かせていくきっかけになりますように。
空き家の扉の向こうには、まだまだ私たちが気づいていないワクワクが隠れています。 もし、あなたの周りにも「どうにかしたい空き家」や「何かを始めたい情熱」があれば、ぜひ私たちに教えてください。
一緒に、新しい風を通してみませんか?

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今回のツアーを取材&レポートしていただきました。併せてご覧ください!

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