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2024.03.22
空き家買取専科 組織作りを考える1年の取り組み(第六話 ポリネによる研修)
こんにちは、子育て広報の三輪です。
本日は、空き家買取専科が組織を考える1年の取り組みの最終章です。今回は、2022年夏の沖縄リトリート研修から、当社の組織づくりにおいて大きな貢献をしてくださっているポリネ(一般社団法人ポリネ)の皆さまと共に行われた静岡での研修についてお話しします。
研修の大事なパートナー
■ポリネとは?
ポリネは、うつ病からの復職や、 人が「うつ」にならない経営や社会組織、人事制度などの組織のメンタルヘルスを支援する沖縄にある法人です。
ポリネは、代表の荷川取佳樹(にかどりよしき)さん※以下「ニカさん」が22年間のマネジメント職経験を積んだ後、2013年に沖縄で民間初のうつに特化した復職支援(リワーク)株式会社BowLを設立されました。その後、企業や官公庁向けにメンタルヘルス研修や高ストレス組織の活性化などの予防支援も行い、2020年には一般社団法人ポリネとして法人化しました。
ポリネは、一人一人が自分らしく生き、セルフリーダーシップが発揮できる個人と組織構造の変容を目指し、メンタル不調に陥らない社会作りへ精力を注いでいます。
▲研修に入ってくださるマッキーさん(左)としゅーとさん(右)
ポリネメンバーご紹介
ポリネからはお二人が、当社の研修やミーティングに伴走してくださっています。
・德里 政亮(とくざと まさあき)さん 以下「マッキーさん」
・山城 脩人(やましろ しゅうと)さん 以下「しゅーとさん」
ポリネの皆さんには、沖縄から静岡まで足を運んでいただき、空き家買取専科スタッフ全員の研修に参加していただきました。2023年5月には、毎年恒例のビジョンミーティングを1泊2日で伊豆の禅寺で開催し、8月には、空き家買取専科との深い関係を持つ「ゆとりてらやいづ」として知られる空き家の改修地で1日をかけて研修を行いました。
マッキーさんとしゅーとさんの優しい言葉に触れると、何でも話せる安心感が湧き、自然に心を開けます。同時に、彼らから多くの気づきと学びを得ています。
そんなポリネさんによる研修と対話会について振り返ってみましょう。
【5月】禅寺でのビジョンミーティング
ビジョンミーティングでは、スタッフがいくつかのグループに分かれて、伊豆の禅寺までのドライブを楽しみながら、現地に向かっていきました。
初日はMBTIを実施
初日の研修は、MBTI(Myers–Briggs Type Indicator、マイヤーズ=ブリッグス・タイプ指標)に焦点を当てました。これは、個人が世界をどのように認識し、判断を下すかを示す心理学的な選好を調査する自己申告型のアンケートです。
■MBTIとは?
MBTIは、単に質問だけを指すのではなく、受験者が研修を受け、国際規格の認定試験に合格した有資格者(認定ユーザー)からのフィードバックを受けることを前提としたメソッドです。
質問した結果は、「外向型・内向型」、「感覚型・直観型」、「思考型・感情型」、「判断型・認知型」の対比する4つの二分法を掛け合わせた16の性格類型を示します。
MBTIの特徴の一つは、質問紙に回答するだけでなく、フィードバックを受けることです。このフィードバックを通じて、受け手はより深い理解を得ることができます。MBTIは他の心理検査と異なり、受検者がフィードバックを受けることが重要な特徴です。リンゴとレモンを比べる際、「リンゴらしい甘さ、レモンらしい酸っぱさ」というように、MBTIでは各指標が優劣を競うものではなく、質的に異なるものであり、「みんな違って、みんないい」という考え方が重要だそうです。
人はそれぞれ利き手があるように、考え方や捉え方にも指向があります。これを理解し、一緒に働くメンバーの特性を知ることで、仕事やコミュニケーションがより円滑に進むと言われています。
■MBTI体験ワークショップ
実際に様々な質問や好みの職場環境、コミュニケーションの取り方などについてのアンケートを受けていく中で、メンバーのタイプは同じグループの人たちもいましたが、基本的にはバラバラでした。それぞれが独自の特性を持っていることが面白いなと、感じました。私自身も、より深く自分自身を理解したいし、一緒に働くスタッフのことももっと知りたいと思いました。
中でも興味深かったのは、「感覚」と「直感」のタイプに分かれて、同じ「雷」という文字を見て、感じたことや思い浮かんだことを、ホワイトボードの表裏に分かれて書いていくワークです。参加者同士がお互いの書き込みを見えないように進め、その後に比較するというものでした。
このワークによって、一方のチームが整然と順序を追って書いているのに対し、もう一方のチームはバラバラに自由な形で書いており、出てくるワードも傾向も異なっていました。同じ文字から連想されるイメージが、参加者によって異なることを実感しました。
興味や関心の方向に基づいて、MBTIでは以下のような4つの指標が使用されます。
- 興味関心の方向(Favorite world)
E – 外向型(Extravertion)
I – 内向型(Introvertion) - ものの見方(Information)
S – 感覚型(Sensation)
N – 直観型(Intuition) - 判断の仕方(Decisions)
T – 思考型(Thinking)
F – 感情型(Feeling) - 外界への接し方(Structure)
J – 判断型(Judging)
P – 知覚型(Perceiving)
2日目はカードのワーク
ビジョンミーティングの2日目では、「共感サークル」というカードを使用して、話し手の「感情」や、「大切にしていること」に焦点を当て、それを共有していきました。
■共感サークルのやり方
共感サークルの方法は、集まった人たちの中で一人が「話し手」となり、自分のエピソードを話します。それ以外の参加者は全員が「聴き手」となり、話し手の感情やその奥にある大切なニーズに焦点を当てながら聴きます。
以下の流れで進めていきます。
主人公を選びます。全員が主人公の役割を果たします。
主人公は「空き家買取専科で働く中で心が揺れ動いた」エピソードについて2分間話します。
聴き手の皆さんは気持ち・感情リストから1つを選んで、主人公に伝えます。この段階には5分間の時間があります。
主人公は聴き手が選んだ感情の中から、「これかな?」と思うものを選び、感じたことや気づいたことを1分間話します。
次に、聴き手の皆さんはニーズカードから1つを選んで主人公に伝えます。このフェーズも5分間です。
最後に、主人公は聴き手が選んだニーズカードの中から「これかな?」と思うものを1つ選び、感じたことなどを1分間話します。
さらに、話をする際に以下の行動は控えるようグラウンドルールを定めて行いました。
- 詳細な情報を聞き出す
- アドバイスをする
- 聞き手が自分なりの解釈(決めつけ)話す
- 自分の話にすり替える
■実際にやってみて
それぞれのチームが独自のアプローチで並べたカードは、個性が際立って面白かったですね。私の話をきいてもらった後に、皆さんからいただいた感情やニーズ・要求のカードはこちらですした。
▲三輪が受け取ったカード
ビジョンミーティングは一泊二日と長い期間だと感じていましたが、実際にはあっという間に終わってしまいました。その間に心理的安全性を確保した職場に少しずつ近づいていったのではないかなという気がしました。これからもっと体験し、対話を重ねていきたいという思いを抱きながら、帰路につきました。
【8月】ゆとりてらやいづでの研修
■ビッグモーター事件の話題から心理的安全性について対話が開始
今回は、ポリネのマッキーさんとしゅーとさんがグラウンドルールを定めるのではなく、空き家買取専科のスタッフ全員が参加し、共通のルールを出し合って始めました。研修では、過去に学んだことも含めて、忘れがちな部分を振り返りつつ進めました。
特に、沖縄リトリートで心に響いた「心理的安全性」について、再び話し合いました。ちょうどこの頃に、ビッグモーター事件が話題になっていたため、私たちはこの問題に絡めて心理的安全性について考えました。この問題では、なぜ経営陣の意向に従い、間違いがあっても問題を指摘しづらい雰囲気が生まれたのか、その背景について考えてみました。もしチーム全体が心理的に安心しており、地位や経験に関わらず率直な意見や疑問を出し合える状態だったら、このような事件は起こらなかったのではないでしょうか。
■「心理的安全性」に関する無記名アンケートを実施
心理的安全性が確保できている職場か判断する際に、一緒に働いているスタッフがどのように捉えているのかを表す以下のような表があります。
ビジョンミーティングやこれまでの対話会を経て、空き家買取専科はきっと変化してきていて、心理的安全性が高まって、仕事の基準や責任も向上しているだろうと勝手に思っていました。しかし、無記名のアンケートを行った結果、驚くべきことが明らかになりました。具体的な数字は示せませんが、「サムい職場」「ヌルい職場」「キツい職場」と感じているスタッフがかなりの割合であることが分かりました。1年間にわたる研修を実施してきたにも関わらず、スタッフの捉え方がバラバラであることに驚きました。
■NVCについても学びを深める
さらに、5月に少しだけ触れたNVC(Non Violent Communication)について、より深く学ぶ機会がありました。NVCは、誰とも戦わない、共感する、人を思いやる、そして自分を豊かにするためのコミュニケーション手法として知られています。
観察、感情、ニーズ、要求のプロセスを通じて、自己をより深く理解し、内在する感情に気づき、そして自分のニーズをリクエストする能力を身につけることで、より心理的安全性の高い職場が築けるのではないかと考えます。まだ理解が曖昧な部分もありますが、継続的な学びとスタッフ同士の対話を通じて、より良い職場環境を共に築いていけると信じています。スタッフ一人ひとりが、自分の感情やニーズを率直に表現し合い、対話を続けることで、ミスコミュニケーションが減り、心理的安全性の高い組織に成長していくと考えられます。
最後に
空き家買取専科 組織作りを考える1年の取り組みの振り返りはここまでです。
今後は、空き家買取専科の組織作りに率先して取り組んできた山田さんのインタビューや、人事体制などの具体的な取り組みについて、随時お伝えしていきます。 私自身、空き家買取専科の組織体制がどのように進展していくのか、まったく未知の領域であるため、非常に緊張と興奮が入り混じった気持ちです。
スタッフ一人一人が自分らしく生き、セルフリーダーシップを発揮できる個人と組織構造がどのように進化していくのか、皆さまにも暖かく見守っていただけると嬉しいです。今後の空き家買取専科の展開に、どうぞご期待ください。