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2024.04.21
【空き家法の改正セミナーレポート】専門家が語る空き家の未来
こんにちは、空き家買取専科 子育て広報の三輪です。
2023年〜2024年にかけて空き家に関する法改正が続いていますね。2023年12月には、空家等対策の推進に関する特別措置法の改正(改正空家法)がおこなわれました。
それにともない、2023年12月に、メディア向けセミナー「空き家法改正で、どう変わる?ー空き家法改正ガイドラインを徹底解説!法改正後の影響とは?ー」を空き家に関わる企業の皆さんと開催しました。空き家問題に向き合う専門家たちが一堂に会した貴重なセミナーとなりました。
時間が経ってしまいましたが、こちらもレポートを残しておこうと思います。
メディア向けセミナーを開催
「空き家法改正で、どう変わる?ー空き家法改正ガイドラインを徹底解説!法改正後の影響とは?ー」
このセミナーは、改正空家法の詳細とその社会への影響を深く掘り下げる場となり、セミナーは2部構成で進行しました。
【第1部】改正空家法を徹底解説
登壇者:国土交通省住宅局 石井秀明室長
改正空家法の背景や目的、そして具体的な内容に関する詳細な解説を行いました。
石井室長のお話によれば、改正法の最大の特徴は「管理不全空き家」の概念の導入です。これまで手つかずだった空き家(窓の一部が割れたり、雑草が生い茂っていたりするなどの状態)いわゆる「特定空き家」の予備軍でも、自治体が指導や勧告を行うことが可能になりました。これにより、地域の安全と美観の保持が一層強化されることが期待されます。
また、改正法が空き家の活用促進にも力を入れている点を石井室長は強調しました。具体的には、自治体が「空家等活用促進区域」を指定し、そのエリア内での接道規制や用途規制の緩和が可能になったことです。
これにより、商業施設やコミュニティスペースなど、多様な用途での空き家の再活用が促されることになります。自治体が民間企業と連携し、空き家の管理や活用を進める「空家等管理活用支援法人」の設立も可能になったことは、官民パートナーシップの新たなモデルとして大きな注目を集めています。
【第2部】専門家によるトークセッション
登壇者
株式会社クラッソーネ 堀口晃司氏
株式会社アドレス 坪山励氏
株式会社カチタス 森川晶氏
空き家買取専科 黒田淳将
改正法によって生まれるビジネスチャンスと空き家問題への対応に関して、それぞれの専門家が提供した洞察を話していきました。
クラッソーネの堀口氏は、改正法によって空き家の活用が強化されることで、除却を検討している物件の中にも再活用の可能性が見出されるケースが増えると指摘しました。
改正法により、空き家の活用に関する情報提供や支援が強化されることで、多くの空き家がコミュニティの資産として再生される可能性が高まっていると述べました。
一方、カチタスの森川氏は、新築住宅市場の縮小とリフォーム需要の高まりを背景に、空き家の再生が地域経済にプラスの影響をもたらすと期待しています。
新築とは異なるスキルが必要な空き家の再生においては、地元の工務店や職人との連携が不可欠であり、地域全体で空き家問題に取り組むことの重要性を強調しました。
そして、弊社の黒田氏からは、改正法によって空き家の有効活用がしやすくなり、空き家買取企業としてより多くの選択肢や解決策を提供できるようになると述べられました。特に「管理不全空き家」への新たな取り組みに注目し、これによって空き家が再評価され、地域に新たな価値をもたらすことに期待を寄せました。
さらに黒田氏、空き家の活用促進に向けての課題にも触れ、「法改正は空き家問題に対する大きな一歩ですが、実際の活用にはまだ多くの課題が残っています。例えば、空き家の状態や立地によっては、活用に向けたコストが大きなハードルになることがあります。これらの課題を乗り越え、空き家を地域社会にとっての貴重な資源に変えるためには、自治体、事業者、地域住民が一丸となった取り組みが必要です」と述べ、全ての関係者が協力して空き家問題に取り組む必要性を強調しました。
このセミナーを通じて、改正空家法が空き家問題に対する新たなアプローチを提供し、空き家を地域の資源として活用するための道を開く可能性が明らかになりました。
黒田をはじめとする専門家たちの貴重な洞察は、今後の空き家問題の解決に向けた議論に新たな視点をもたらし、法改正がもたらすポジティブな影響に期待が高まっています。
空き家対策特別措置法の改正ポイント
改正空き家特措法(令和5年6月14日公布、令和5年12月13日施行)の主要な内容は次の通りです。
(参照:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/akiya-taisaku/index.html)
所有者の責務強化
空き家の所有者は、適切な管理の努力義務に加え、国や自治体の施策に協力する努力義務が課せられます。
活用拡大
空家等活用促進区域が設定され、市区町村が用途変更や建替えを促進します。市区町村は所有者に指針に合った活用を要請できます。NPO法人や社団法人などが空家等管理活用支援法人として指定され、普及啓発や相談対応などを行います。
管理の確保
特定空家(周囲に著しい悪影響を及ぼす空家)の未然防止に向けて、市区町村からの指導・勧告が行われます。勧告を受けた管理不全空家については、固定資産税の住宅用地特例(例えば1/6に減額される措置)が解除されます。
特定空家の除却等
緊急代執行制度が創設され、緊急時の代執行が可能になります。
所有者不明時の代執行費用は確定判決なしで徴収できます。
市区町村長に財産管理人の選任請求を認め、相続放棄された空き家の管理・処分を対応できます。
財政・金融・税制の支援
空き家対策総合支援事業やフラット35地域連携型など、空き家の活用や除却に関する支援が拡充されます。相続した空家の譲渡所得の特別控除が拡充・延長されます。
詳しくは、国土交通省 WEBサイトをご覧ください。
住宅:空き家対策 特設サイト
そのほか、相続登記の義務化についても法改正がされています。こちらもご確認ください。
所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)