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2024.06.17

【令和5年住宅・土地統計調査】空き家問題の現状と私たちの役割

こんにちは。空き家買取専科の子育て広報の三輪です。

2024年4月末に、5年に一度の住宅・土地統計調査(令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果)が発表されました。今回の調査結果では、全国の空き家数が900万戸を超えたことが明らかになり、空き家問題がますます深刻化しています。

今回のnoteでは、空き家問題の現状やその背景、そして私たちが取るべき具体的な対策について詳しく解説します。また、2023年および2024年に施行された空き家に関する法改正についても触れ、空き家の現状と皆さん一人一人ができることについて考えていきたいと思います。

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総務省は2023年10月1日現在で「住宅・土地統計調査」を実施しました。

この調査は1948年以来5年ごとに実施されており、今回で16回目となります。今回公表された速報集計結果は、調査結果の早期提供を目的として、全国及び都道府県の総住宅数、空き家数などを確定値に先駆けて公表されたものです。(確定値は2024年9月頃に公表予定)

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukei03_01000119.html

総務省 令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果

1. 総住宅数

2023年10月1日現在の日本の総住宅数は6502万戸で、2018年と比べて4.2%(261万戸)増加しています。総住宅数は、これまで一貫して増加しており、過去最高となっています。

都道府県別では、東京都が820万戸で最も多く、次いで大阪府が493万戸、神奈川県が477万戸となっています。2018年以降の総住宅数増加率を見ると、沖縄県が7.2%で最も高く、次いで東京都が6.9%、神奈川県と滋賀県が5.9%となっています。

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2. 空き家

総住宅数のうち空き家は900万戸で、2018年の849万戸から51万戸増加し、過去最多となっています。空き家の割合(空き家率)は13.8%で、2018年の13.6%から0.2ポイント上昇し、過去最高を記録しています。

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空き家数のうち、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は385万戸で、2018年の349万戸から37万戸増加しています。これにより、総住宅数に占める割合は5.9%となっています。

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●都道府県別の空き家率

空き家率を都道府県別に見ると、和歌山県と徳島県が21.2%で最も高く、次いで山梨県が20.5%です。また、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家率」を都道府県別に見ると、鹿児島県が13.6%で最も高く、次いで高知県が12.9%、徳島県と愛媛県が12.2%となっています。特に西日本地域で高い傾向が見られます。

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●調査の概要

調査は令和5年10月1日午前零時現在で実施されました。全国の調査区から約20万単位区を抽出し、これらの単位区において調査を行いました。

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調査の目的:
この調査は、我が国における住宅及び住宅以外で人が居住する建物に関する実態並びに現住居以外の住宅及び土地の保有状況、その他の住宅等に居住している世帯に関する実態を調査し、住生活関連諸施策の基礎資料を得ることを目的としています。

調査の対象:
調査対象は約340万戸・世帯で、特定の施設やそれらに居住する世帯は対象外となります。

調査の方法:
調査票甲・乙は、調査員等が調査世帯に配布し、インターネット回答、記入した調査票の提出、郵送により行いました。建物調査票は、調査員等が建物の外観を確認するなどして作成しました。

結果の公表:
結果は住宅数概数集計、住宅及び世帯に関する基本集計、住宅の構造等に関する集計及び土地集計から成り、インターネットへの掲載、報告書の刊行などにより公表されます。住宅数概数集計による結果は速報値であり、基本集計等の結果とは必ずしも一致しません。

●静岡県の空き家状況の比較(2018年と2023年)

私たちが住む静岡県のデータをピックアップしてみました。

【総住宅数】
静岡県の2023年の総住宅数は177.4万戸で、2018年の171.5万戸から5.9万戸増加しました。これにより増加率は3.5%となります。

【空き家数】
2023年の静岡県の空き家数は29.5万戸で、2018年の28.2万戸から1.3万戸増加しました。この増加により、空き家率は0.2ポイント上昇し、16.6%となりました。

【賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家数】
静岡県の2023年の「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家数」は10.4万戸で、2018年の8.8万戸から1.6万戸増加しました。このカテゴリの空き家率は5.9%で、2018年の5.1%から0.8ポイント上昇しました。

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静岡県では2018年から2023年にかけて、総住宅数、空き家数、および「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」の数とその率が増加しています。特に、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」の増加が顕著であり、これは地域の住宅政策や空き家対策において重要な課題となっています。

 

調査結果から考察

●空き家増加の背景

空き家が増加する背景には、いくつもの要因が存在します。

日本では、新築住宅が好まれる文化が根強く、住宅の寿命が短いことや、地震などの自然災害に備えて建て替えが頻繁に行われています。また、住宅メーカーやデベロッパーが新築住宅の建設を積極的に進め、、広告や販売に注力しています。さらに、新築には税制優遇措置もあって経済的にも有利な選択とされています。これらの要因が組み合わさり、新築住宅が一般的に選ばれる傾向があります。

さらに、日本の家族構成の変化や少子高齢化も空き家増加に寄与しています。かつての大家族から核家族化が進み、子供が独立した後に親が一人暮らしや夫婦二人だけの生活に移行し、最終的には高齢者施設に入居するケースが増えています。これにより、親の住んでいた家が空き家となることが増えています。

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また、空き家増加の一因として、相続の問題も挙げられます。両親が亡くなった際に、相続する子供たちが家の処分方法について意見が一致しない場合が多くあります。その家を売却するか、住み続けるか、あるいは取り壊すかについての意思決定が迅速に行われず、結果として空き家として放置されることが多いのです。

●空き家がもたらす問題

空き家が増えることで、地域社会にはさまざまな問題が生じます。
空き家が傷むことでだけでなく、倒壊の危険性も増しています。特に老朽化した建物が倒壊すると、隣接する家屋や通行人に危険を及ぼす可能性があります。さらに、不法侵入や放火のリスクが高まり、地域の治安が悪化することもあります。また、ネズミやシロアリなどの害虫が発生し、周辺の住環境が悪化することも少なくありません。

 

空き家に関する法改正

2023年から2024年にかけて、空き家や所有者不明土地を減少させるための法改正が多数行われました。

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・民法の改正
2024年4月1日から、土地や建物の利用の円滑化を目指して民法が改正されました。財産管理制度、共有制度、相隣関係規定、相続制度などが見直されました。

・相続土地国庫帰属制度
2023年4月27日から、所有者不明の土地の発生を防ぐために、相続によって土地の所有権を取得した相続人が、法務大臣(窓口は法務局)の承認を得て土地を国庫に帰属させる制度が新たに設けられました。

・空家法の改正
2023年12月13日には、「空家対策特別措置法」が改正され、市区町村長からの指導・勧告を受けた管理不全空家に対して固定資産税の住宅用地特例を解除し、特定空家への早期介入制度が導入されました。
これにより、放置された危険な空き家に迅速に対応できるようになります。また、所有者の責務が強化され、市区町村がNPO法人や社団法人を指定して空き家管理を支援する制度も強化されました。この法改正は、空き家の有効活用と適切な管理を進め、地域への悪影響を防ぐことを目的としています。

・相続登記義務化
2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。相続開始や所有権取得を知った日から3年以内に相続登記を行わなければならず、正当な理由がない場合は10万円以下の過料が科されます。この改正により、所有者不明の土地や建物が減少し、空き家問題の解決に寄与することが期待されています。

各法改正の内容は、取り組み・事業内容noteもご覧ください。

 

今からでもできる今後の空き家対策

空き家が発生した段階で適切に対応することで、無価値やマイナスの価値を持つ物件になることを防ぐことができます。所有者不明の土地や建物についても、権利関係を明確にすることが求められています。

空き家問題を解決するためには、家族間で早期に話し合い、意思を確認することが重要です。特にお盆など家族が集まる機会を利用して、家族の意見を明確にし、将来的なトラブルを防ぐことが推奨されています。全員が意見を共有し、最善の解決策を見つけることが肝要です。

さらに、専門家の助言を受けることも有効です。行政機関、司法書士、不動産業者などに相談し、適切な管理や活用、賃貸、売却などに関する対策を講じることが重要です。

空き家問題に関心を持ち、積極的に行動することで、地域社会全体の住環境を改善し、安全で快適な暮らしを実現することができるでしょう。今こそ、空き家問題に真正面から向き合い、未来のために具体的な行動を起こしましょう。

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